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教員ピックアップ

国際人間科学部案内 2020(2019年6月発行)より

松井 裕美 専任講師(グローバル文化学科 グローバル文化形成プログラム)

専門
近現代美術、フランスの芸術と文化

私たちは日々様々な視覚文化に囲まれて生活していますが、そのなかには過去に培われた文化や思想が潜んでいることが少なくありません。映画やアニメ、漫画、テレビやポスターの広告、毎年新しくなる流行の服のかたち、椅子やコップのかたちのなかにも、実は過去の芸術文化の影響を受けて生まれたものがあるのです。美術作品であれ日用品であれ、あるイメージを単に「見る」のではなく「知る」ということ、それは、背景にある広大な思想や文化の体系を知ることに他なりません。様々な時代や地域の芸術について考察することで、身近な文化についての理解を深め、新しい世界の見方を発見する経験を、学生の皆さんと共有していきたいと考えています。

正田 悠 助教(グローバル文化学科 グローバル・コミュニケーションプログラム)

専門
演奏科学、音楽心理学、認知科学、マルチモーダルコミュニケーション

私たちが大学生およそ1,000人を対象に行った調査では、毎日3時間以上音楽を聴く人がなんと全体の25%近く。お気に入りのミュージシャンのライブでは安静時の2倍以上の心拍数を2時間半キープする人もいました。音楽は「感情の言語」といわれるように、文化や時間を超えたコミュニケーションの媒体です。このときの私たちの体験は、曖昧で、微妙で、様々な感情が入り交じり、それでいて強烈です。私はこの不思議に魅入られ、背景に人間のどのような特性が隠されているのかを心理・行動・生理の3側面のデータから調べてきました。謎解きのような、宝探しのような、夢中になってワクワクできる研究にぜひ触れてみてほしいと思います。

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国際人間科学部案内 2019(2018年6月発行)より

小澤 卓也 教授(グローバル文化学科 グローバル・コミュニケーションプログラム)

専門
中央アメリカ近現代史、食のグローバル・ヒストリーズ

日本の素晴らしい食文化は、海外から輸入されるたくさんの食材や食品によって支えられています。ラテンアメリカなどの遠い熱帯地域で生産されるコーヒーも、いまや日本の食卓において必要不可欠になってきました。自国ではほとんど生産できない嗜好品なのに、私たちは独特の香りや味わいの国際色豊かなコーヒーを比較的安い価格で楽しむことができるわけです。たとえばこのグローバル商品であるコーヒーを基軸に、多様な国家、地域、人々の相互作用の中で発展してきたコーヒー産業、またそれと密接な関係にあるコーヒー文化の特色について考察することで、「グローバリゼーション」の功罪について具体的に理解することができます。私たちと一緒に、さまざまな「食」の視点から世界を読み解く知的挑戦をしてみませんか。

藤濤 文子 教授(グローバル文化学科 グローバル・コミュニケーションプログラム)

専門
翻訳理論

グローバル化が進展する中、私たちは日々翻訳に触れています。映画の字幕や海外ニュースの報道、そしてパソコンのマニュアルも翻訳されています。また日本のマンガやアニメは翻訳されて、海外で大人気です。しかし、ただ言語を変換しているだけではありません。翻訳は言語と文化の壁を超える創造的活動です。その意味で、翻訳は異文化間コミュニケーションと言えるでしょう。翻訳とは、ある歴史的・社会的文脈で産出された原文を、別の歴史的・社会的文脈で再産出する行為ですから、翻訳を決定する要因として、原文のジャンルや読者等だけではなく、受け入れ側の社会的要請や翻訳の送り手の意図にも注目する必要がでてくるでしょう。そして、そのようにして作成された翻訳は、文化の差異の記録として興味深い分析材料となるのです。

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国際人間科学部案内 2018(2017年6月発行)より

辛島 理人 准教授(グローバル文化学科 グローバル文化形成プログラム)

専門
経済史、文化政策、日本・東南アジア史

大きな港をもつ神戸は、近代日本がヨーロッパに開いた玄関口でした。日欧を結ぶ航路の途中には上海やシンガポールがあり、神戸は自ずとアジアにつながっています。私は20世紀における日本と東南アジアの関係を、経済や知識に注目して研究してきました。現在は、その巨大な経済力で世界に影響をおよぼしてきたアメリカの民間財団やNGOに焦点をあて、第二次世界大戦後の文化交流を検証しています。また世界各地に点在する日本学にも興味があり、近年ではオーストラリア、フィリピン、イラン、ポーランドなどを訪れて現地の研究者と交流してきました。グローバル文化学科は、文化と文化のあいだ(inter-

cultural)で考えるという国際文化学部の伝統を引き継いでいます。私もその知的風土を多くの学生と共有し、神戸大学で楽しみながら学びたいと思っています。

青山 薫 教授(グローバル文化学科 グローバル社会動態プログラム)

専門
社会学、ジェンダー、移住・移民

「ジェンダー」とは、私たちの社会がつくる性差であり、個人の属性でもあります。 ジェンダーは、一定の属性をもった人びとに対する差別や搾取の根拠に使われます。女性だけではなく、性的少数者、男性でもその社会における標準的「男らしさ」に合致しない人なども対象になります。そこには、誰が「標準」なのかを決める力が存在しています。しかしこの力は見えにくく、差別や搾取自体を問題として取り上げることが難しい場合もあります。私が専攻している社会学の中のジェンダー研究は、ジェンダーによる差別や搾取を可視化し、問題化し、その応用として、人間同士のさまざまな力関係が生み出す格差に挑戦します。そして結局は、多様な人びとが多様なまま幸福を追求できる社会をめざすものです。社会がつくる格差は社会によって変えられる、と希望を抱きつつ。

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