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国際環境生物資源シンポジウムを開催しました

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2018年3月20〜21日に、神戸大学鶴甲第2キャンパス A棟2階大会議室にて、ドレスデン工科大学(ドイツ)Thomas Schmidt教授、マラヤ大学(マレーシア)Chee How Teo講師、京都大学生態学研究センター 工藤洋教授、鳥取大学乾燥地研究センター 辻本壽教授をお招きし、国際交流としての、国際環境生物資源シンポジウムを開催しました。この国際シンポジウムは、動物ならびに植物の資源生物を通じて、地球温暖化、エネルギー問題など地球規模の環境問題解決への取り組みを行う、研究ネットワークの構築を目指しています。環境・フィールド・ゲノム・遺伝子研究のキーワードをつなぐ内容の研究発表会です。11回目のテーマは、「環境に資するゲノム情報の活用」としました。本校ならびに他校の大学院生、学生ならびに教員の皆様にお越し頂きました。発表は16題で、参加者の総計は、31名でした。

プログラムの概要

3月20日(火)13:30〜18:00

座長:福井希一(大阪大学大学院 薬学研究科)

  • 招待講演1:Chee How Teo講師(マラヤ大学、マレーシア)
    Noncoding DNAs in Crop Nuclear DNA: Type, Chromosomal Organization, Evolution, Function and Potential Applications in Crop Improvement
  • 招待講演2:辻本壽教授(鳥取大乾燥地研究センター)
    Wild gene mining for sustainable wheat production under changing climate

座長:近江戸伸子(神戸大学大学院人間発達環学研究科、国際人間科学部環境共生学科

  • 特別講演1:工藤洋教授(京都大学生態学研究センター)
    Field epigenetics in plants: the basis of robust responses under fluctuating environments
  • 招待講演3:源利文准教授(神戸大学大学院人間発達環学研究科、国際人間科学部環境共生学科
    Environmental DNA: next generation monitoring method for aquatic biodiversity
  • 総合討論

3月21日(水)9:15〜12:30

  • 特別講演2:Thomas Schmidt教授(ドレスデン工科大学、ドイツ)
    Repetitive DNA -what do we know about the largest fraction of plant genomes?
  • 一般講演:11題

シンポジウムの詳細については、次のページをご覧ください。

Chee How Teo講師の招待講演では、マレーシアに存在するバナナの栽培種ならびに系統樹解析をおこない、特にサテライトDNAの全ゲノムの解析について注目し、新しいバナナの育成に資する遺伝資源の作製についての成果について報告されました。

工藤洋教授の特別講演では、開花に関連する春化という現象について、野外で季節ごとの変動を示す遺伝子発現の原因が、ヒストンメチル化修飾というエピジェネティクス変化によるものと証明されました。植物が長期間の温度変化に対応して安定的に開花するために、重要な因子として制御されていることを報告されました。

辻本壽教授の招待講演では、地球環境の悪化と人口の増大による作物の生産についての問題を解決するために、乾燥地を中心として、多角的なコムギの遺伝資源の収集と農業生産に有効な遺伝子の解析についての研究成果を報告されました。

源利文准教授の招待講演では、環境DNAに着目した簡便かつ信頼できるDNA解析法の樹立と、それをもとにした世界の水中の魚や両生類の生態系の評価と保全についての研究成果を報告されました。

Thomas Schmidt教授の特別講演では、サトウダイコンならびにジャガイモのゲノム中に散在するレトロトランスポゾンに注目し、遺伝的多様性の解析を行いました。これらの研究成果は、ヨーロッパの多様なサトウダイコンとジャガイモの品種育成に貢献したことを報告されました。

すべての発表に関して、時間を超過するほどの活発な議論が展開されました。今後もこのシンポジュウムがひとつのコアとなり、国際的に環境生物資源のゲノム研究を加速し、進めていきたいと考えています。