2017年11月24日に神戸大学鶴甲第2キャンパス A棟2階大会議室にて,韓国済州大学の先生3名をお招きし,国際交流プログラムを開催しました。このシンポジウムは、韓国と日本の教育の状況や環境を紹介し、文化多様性をもふくめて状況をどのように改善するかを相互に理解することを目的としました。およそ50名の大学院生,学生ならびに教員の皆様にお越し頂きました。
シンポジウム1 日本と韓国の教育事情(13:20〜14:50)
- 座長:山下晃一(神戸大学国際人間科学部 准教授)
- 倫理教育・道徳教育の立場から(張 承姫:済州大学教育学部 教授)
- 家庭科教育の立場から(金 孝心:済州大学教育学部 教授)
- 子どもの権利保障の立場から(渡部昭男:神戸大学国際人間科学部 教授)
張承姫先生からは,韓国の道徳教育や倫理教育について,社会や国家を批判することを教えること,道徳は教科書があること,哲学的知識の評価が行われるなど日本と比較しても先進的な取り組みを実施していることが報告されました。金孝心先生からは,韓国では,「実科」として,日本の家庭科教育並びに技術科教育が行われており,教科内容としては類似していますが,韓国社会の問題として,家庭で家事を行わない子ども達のための教科であることなど,日本とは異なる概念で教科が構成さていることが報告されました。渡部昭男先生からは,障がい児の権利保障と教育政策的観点からの子どもの権利保障の観点から,子どもの学びの権利保障について報告されました。学生からは道徳の評価方法の質問などがあり,日本との考え方の違いにとても驚いていました。
シンポジウム2 教育的側面から見た多文化理解(15:10〜16:40)
- 座長:國土将平(神戸大学国際人間科学部 教授)
- 韓国における多文化理解,生涯教育(金 民浩:済州大学教育学部 教授)
- 日本における多文化理解(奥山和子:神戸大学国際人間科学部 講師)
金民浩先生からは,韓国の多文化理解の教育事例として,済州の海女の教育について,伝統的文化を守ることと,変容していく文化や価値観をどの様に受け入れるかについて報告されました。奥山和子先生からは日本に住むJSL(Japanese as a second language)児童の実態とその教育支援の必要性について触れ,この様な状況における教員がどの様な資質を求められるかについて報告がありました。
また,このシンポジウムに先立ち,韓国済州大学校とのGSPに関わる交流の詳細についても打ち合わせが行われました。参加する学生の教育的な興味関心に沿ってテーマを設定し,済州大学校附属小学校や近隣の公立小学校を訪問し,さらに,済州大学校の学生とのディスカッションや交流をふまえて,教育的理解,多文化理解を深化できるようなプログラムを計画しています。
関連情報
- 韓国済州大学との国際交流プログラム(2017年11月24日開催)